1日目 頭を緩めてホルモン分泌
2日目 首を伸ばしてストレス解放
3日目 肩を開いて酸素を皮膚に届ける
4日目 冷え取りでアレルギー反応を抑える
5日目 薬と上手につきあう背骨ひねり
6日目 骨盤調整で皮膚の排毒を減らす
7日目 背骨を緩めて自律神経を整える
特別編1 ツボで「かゆみ」を緩和する
特別編2 スキンタッチで「子供ケア」
こんにちは。鍼灸師の伊東 歩です。
今日は【 メルマガ講座 】の3日目。
メールでもお伝えしたように、長年アトピーで悩んでいる人をみてきて
呼吸機能の回復が、アトピー改善のカギだと実感しています。
施術を終えたクライアントさんの、
「あ~、息が吸える!」
と思わず出てしまう声を聞くにつけ、みなさん気がつかないうちに呼吸が浅くなっているんだなと分かります。
今日は、酸素をちゃんと皮膚表面まで届けて、アトピーを改善していく方法をお伝えします。
Contents
酸素が足りないとアトピーが悪化
無自覚な酸欠状態
突然ですが、あなたは自分が酸欠ぎみだと感じることはありますか?
ほとんどの人は、
「自分はちゃんと呼吸できてる」
と思っているでしょう。
でも実際にアトピーの人の施術をすると、ほとんどの人が、今まで自分の呼吸が浅かったことに気がつきます。
このように、倒れるほどじゃないけど、微妙な酸欠状態で過ごしているとどうなるか。
- 朝起きて身体が重い
- 疲れが抜けない
- やる気が出ない
- 物忘れが多い
- ため息が多い
- 頭がボーっとすることがある
- 顔色・肌色がくすむ
これらが思い当たるひとは、今日お伝えするセルフケアをおすすめします。
アトピーへの影響は?
昨日の自律神経の話でもお伝えしたように、皮膚の新陳代謝には
- 酸素
- 水分
- 栄養
が必要です。
交感神経の緊張で血管が細くなると、この3つが不足して皮膚の新陳代謝が乱れます。
でも、たとえ血管が開いて血液の流れが良くなっても、そもそも血液に含まれる酸素が足りていなければ?
ここで一度、あなたの血液状態を見た目でチェックしてみましょう。
身体のどの部分でもいいので、表面に浮き出ている血管を探してみてください。
その血管は、どんな色をしていますか?
もし、色が青っぽかったり、他の人と比べて色が暗かったり、ミミズのような赤く細い血管があちこちに浮き出ていたら要注意。
血液が酸欠だというサインです。
ちょっと見にくいかもしれませんが、細い赤紫色の血管が浮き出ているのが分かるでしょうか。
これがあるということは、血液が酸欠状態。
膝や腰、足首の痛み、肩こりがある所に、よく見られる毛細血管です。
(ちなみにアトピーで悩んでいる人の足の内くるぶしにもよく見られます。その理由はまた後日)
新しい皮膚を作り出し、皮膚の健康状態を維持するために必要な酸素が足りず、皮膚に潤いや栄養が行き届いてない。
このような肌の状態だと、保湿したり薬を使ったりしても、アトピー改善が難しい可能性があります。
ホルモン分泌や自律神経の乱れ
酸欠状態の影響は、皮膚ばかりではありません。
- 酸素
- ブドウ糖(ケトン体)
の2つがないと働けない「脳」にとっても酸欠は大問題。
アトピーの状態を左右する副腎皮質ホルモン分泌や自律神経の司令塔は、脳。
その脳の本来の機能を発揮するには、酸素とブドウ糖が欠かせません。
今の日本でブドウ糖が足りない人はいないでしょうが、逆に酸素不足の人はかなり多い。
自覚症状が少ないので見落としがちですが、脳の酸欠は
- 老化促進
- 痴呆
- 集中力低下
- 疲労感増幅
- 精神的不安定
など、いろいろな問題を引き起こしています。
アトピーもその中のひとつ。
脳本来の働きを取り戻すために、必要としている酸素を送ってあげましょう。
東洋医学的な観方
アトピー改善には、呼吸機能の回復が欠かせない理由をもうひとつ。
東洋医学では、皮膚と肺は深い関わりがあります。
これは『五行色体表』といって、東洋医学の考え方の基本となっています。
右から2番目の「金」の縦ラインを見てください。
肺の状態は、そのまま大腸や鼻、皮膚に影響して、乾燥によって悪化します。
さらに鼻水なども並んでいるように、花粉症治療も、同じように肺が重要視されています。
あれ、何でこの話を持ち出したんだ…
そうそう。この表は2,000年以上前にできたものなので、私たち専門家でも
「本当に役に立つの??」
と思うのですが、実際に難しい症状の施術をしていて何度もこの表に助けられました。
アトピーに限らず皮膚トラブルを施術するとき、肺の状態を整えると、皮膚の状態に変化が出てくる。
こんな経験を重ねると、
「ああ、本当に肺と皮膚は関わりが深いんだな」
と実感するのです。
なぜ呼吸が浅くなるの?
最大の原因は姿勢
肺の機能低下の目安として、『スパイロメトリ―』があります。
これは、目いっぱい息を吸って、吐き出すときの最初の1秒間にどれだけの空気を吐き出せるかで肺年齢を判定する機械。
うちにも簡易型の測定器があるのですが、アトピーの方の多くは「肺年齢」が平均より高いのです。
ですが、施術をすると平均値より改善する。
ということは、肺自体の萎縮などではなく、単に「息が吸えない身体」になっているということ。
具体的には、
- 猫背
- 肩の巻き込み
の2つの条件が揃うと、肺年齢はぐっと高くなってしまいます。
猫背と巻き込み肩で酸欠に
あなたが普段、無意識に呼吸をしているとき働いているのが「肋間筋」。
図のように肋骨のすき間にある細い筋肉(肋間筋)が伸び縮みすることで、肋骨がアコーディオンのように上下します。
すると肋骨にひっぱられた肺が広がって、そこに空気が入るという仕組みになっています。
肺は自分で広がることができないので、肋間筋など肋骨の周りの筋肉が動いてくれないと息が吸えません。
ですが、猫背だったり、肩が前に巻き込んでいたりすると、肋骨を広げることができないのです。
ためしに、わざと猫背になって、肩を前に巻き込んで息を吸ってみましょう。
きっと、息苦しいはず。
「最近、ため息が増えたかも…」
と思ったら要注意。
スマホやパソコン作業で背中が丸まってしまい、酸素が足りなくなっているかもしれませんね。
通常呼吸が大事
以前、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われる40代の女性の方が来院されたことがありました。
この女性は肺機能を維持するために、ヨガに通い、腹式呼吸を頑張っていると話されていたのです。
たしかに、腹式呼吸をすることで
- 自律神経が整う
- 血液の酸素量が増える
- 内臓の働きが改善する
といった変化があらわれます。
でも、アトピーのために慢性的な酸欠を改善するという視点で見ると、腹式呼吸では物足りないと感じてしまいます。
というのも、私たちは普段生活をしていて、頻繁に深呼吸(腹式呼吸)をするのは難しいですよね。
それよりも、無意識でやっている自然呼吸を深く吸えるようにしたほうが、皮膚にも脳にも酸素を充分に届けることができます。
アトピー以外にも良いことが
これからお伝えする、呼吸を深くするための肩開きのセルフケアをすると、アトピーだけではなく色々な「いいこと」があります。
- 肩こり・首こり
- 顔のくすみ
- デコルテの歪み
- 腕のしびれ
- 二重アゴ
- 頭痛
- 眼精疲労
などの困りごとは、肩が開き、背中が伸びると楽になります。
では、いつものようにまず「ツボ」を刺激しましょう。
呼吸を深くしてアトピーを改善するセルフケア
呼吸が深くなるツボ
肩を開いて、呼吸を深くするために良いツボはいくつかあります。
でも、とくにアトピーの方にオススメなのは陽陵泉(ようりょうせん)。
そう、メルマガ1日目にお伝えした、あのツボです。
普通、東洋医学の施術としては、肺経や腎経など、肺を直接助けるようなツボを使います。
もちろんそれでもいいのですが、この方法だとコツコツ鍼灸院に通わなければなりません。
セルフケアとして考えたとき、使いやすいのがこの陽陵泉。
人体の側面を司っている胆経に所属していて、具体的には肋骨が広がりやすくなります。
ストレス過多の人は、この胆経の流れが滞りやすく、肋骨が広がらず肩も閉じてしまいます。
そこで陽陵泉を使うことで、このあとにお伝えするストレッチや体操の効果が出やすくなるのです。
この陽陵泉は、アトピーのセルフケアには欠かせないツボ。
5日目にお伝えする予定の『薬と上手につきあう背骨ひねり』で肝臓のケアをするときも使います。
陽陵泉のツボの位置が詳しく載っている、1日目の記事へのリンクを下に貼っておきますのでご確認ください。
あ、刺激方法は同じで大丈夫ですからね。
呼吸が深くなるストレッチ
ツボを使って肋骨をゆるめたら、こんどは肩甲骨も動くようにしましょう。
本来、肩甲骨は肋骨の上を滑るように動くのですが、多くのアトピーの人は肩甲骨が肋骨に貼りついています。
すると肋骨が広がらず、肺に空気が入りにくくなるのです。
ですからまずは、肩こりの原因にもなりやすい肩甲骨の貼りつきをはがしましょう。
今回はとくに、呼吸に影響しやすい肩甲骨の下部をゆるめる方法をご紹介します。
まず、頭のうえで手を組みます。手のひらは下向きで。
そのまま、ぐ~っと上に伸ばしましょう。
大事なのは、脇の下を意識すること。
腕や肩だけではなく、脇の下の肋骨あたりが引き上げられるのを感じるくらい伸ばしてみてください。
そうしたら、今度は手のひらをくるっと返して上向きに。
はい、同じようにぐ~っと伸ばしましょう。
今度も脇の下の肋骨が引きあがるのを感じながら。
NGパターン
背中が反ったり、顔を上に向けると、ストレッチが甘くなります。
できるだけ背筋を伸ばして、真っすぐ正面を見ながら真上に伸ばしてください。
肩が痛いひとは
もし肩が痛くて腕が挙げられない場合は、斜め上でも大丈夫。
そのときも、脇の下の肋骨が伸びるのを感じながらやりましょう。
背中が丸くならないように気をつけてくださいね。
肩を開く体操
先ほどのストレッチをすると、肋骨が広がりやすくなり自然呼吸が深くなります。
でも、せっかく肋骨を広げても、肩が硬く閉じていると肺の上部が広がりません。
たくさんのアトピーの人をみてきて感じるのは、肩の巻き込みが強いタイプが多いこと。
肩が前に出て、本来は背中にある僧帽筋が肩の前にかぶさってしまっているのです。
こんなかわいい孫の手ならいいですが、僧帽筋がこのように肩の前まで覆いかぶさると…
見た目年齢がぐっと上がります。
首から背中にかけて丸くなるので。
そして大事なのは、呼吸。
肩が巻き込むと、だんだん鎖骨が「V字」になって落ちくぼみ、呼吸が入っていかなくなる。
そうならないように、覆いかぶさった僧帽筋を戻しながら、肩を開きましょう。
まず、両手を挙げるのですが、ポイントがあります。
しっかりと僧帽筋を動かすために、前から腕を挙げましょう。(「前へならえ」をするように挙げる)
腕を真っすぐ伸ばして、耳の横くらいまで挙げたら、今度は肩甲骨を内側に寄せましょう。
実際は、ほんの少ししか肩甲骨は動きません。
その、ほんの少しが大事なので、できるだけ肩甲骨の内側に意識を向けてください。
胸を張るようにすると、コツがつかめるかもしれません。
そうしたら今度は、肘を曲げましょう。
このとき、肩甲骨の内側に入れたチカラを抜かないことがポイント。
肩甲骨まわりの筋肉に
「あなたは本来、この場所で、こういう動きをするんですよ」
と再教育したいので、
頑張って背中の筋肉を使って、胸を開いた状態をキープしながら腕を下げましょう。
下げる途中で、上半身が反ってしまう人が多いのですが、頑張って真っすぐな状態を保ってください。
慣れてくると、腕を下まで下げたとき鎖骨のあたりがググッと広がる感覚が分かってきます。
そうなってくると胸の上の部分に空気が入るようになるので、呼吸が深くなります。
終わりに
アトピーを改善するためには、慢性的な酸欠を回復することが必要。
そのためには、肩を開くことがポイントだということ、分かっていただけたでしょうか?
ストレッチと体操は、1日に何度やってもいいので、仕事の合間や寝る前などにやってみてください。
その前にツボをタッピングしておくと、より胸が広がります。
今日も文章が長くなってしまって、すみません…
つい、分かりやすく説明しようとすると、こうなってしまうのです。
明日は短くお伝えします!
アトピーに限らず、アレルギーによる身体の不調は「冷え」があると悪化します。
これは経験上、はっきりと言えます。
明日のセルフケアでは、その「冷え」の取りかたについてお伝えしますね。(簡潔に…)
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